←前のページへ次のページへ→



8/23 (木) 福岡市地下鉄空港線・筑肥線・唐津線・松浦鉄道西九州線・佐世保線・長崎本線・博多南線・鹿児島本線・山陽本線

 最終日の予定は筑肥線・唐津線・博多南線全線と、以前の旅行で微妙に残していた佐世保線有田−早岐間である。まずは筑肥線に乗るべく、直通する地下鉄空港線に乗車する。筑肥線は既電化の東側と非電化の西側に分かれているので、ここでは便宜上、筑肥東線、筑肥西線と分けて呼ぶ事とする。

1.博多→筑前前原 普通 筑前前原行き 1000系
2.筑前前原→唐津 普通 唐津行き 103系1500番台

 あまり眠れないまま、朝を迎えた。早朝の博多駅地下鉄ホームに下り立つ。電車に乗ったところまでは覚えているが、その後の記憶が無い。この区間は帰りにもう一度通るので安心して眠っていた。筑前前原で乗り換えるも、引き続きの爆睡であった。近代的な高架駅の唐津駅に着く。




103系1500番台 筑前前原駅にて


3.唐津→西唐津 普通 西唐津行き キハ47形

 唐津線の気動車に一駅だけ揺られて終点の西唐津へ。筑肥線の電車を通すためこの一駅間は電化されているが、今回は唐津線の気動車だった。かつてこの先に呼子線という路線ができるはずで路盤もかなり完成していたが、国鉄改革のあおりを受けて未成線となった。今日その出来合がった路盤の一部は遊歩道等に転用されている。西唐津駅自体は唐津駅とは打って変わって、車庫の端にぽつんと駅が存在する感じだった。




キハ47形気動車         キハ125形気動車
ともに西唐津駅にて



4.西唐津→伊万里 普通 伊万里行き キハ125形

 運良く西唐津から筑肥西線への直通列車に接続できた。唐津までは先程の行程を戻る。唐津で筑肥東線と分かれて、しばらく走ると山本に到着。かつて山本の手前で筑肥東線が合流していたはずだが、もう随分時間が経っており、その跡を見つけだすのは困難だった。山本から唐津線と分かれてこちらは筑肥西線に入るはずだが、しばらく併走する。単線並列なのだが、あたかも複線であるかのようだ。そのような状態で本牟田部駅は唐津線のみに駅があるものだから、ホームの無い筑肥西線の線路が通過線のようにも見えた。その本牟田部駅付近を過ぎると間もなく唐津線と分かれ、西進していく。筑肥東線とは打って変わってこちらはローカル線であり、電化もされていない。何時間も列車が来ない事はざらなので、今回これだけうまく接続できたのは幸運とも言えよう。松浦川に沿った比較的なだらかな経路を通り、JR線としては盲腸線のようになってしまった伊万里に到着。言わずと知れた、陶器の町である。




MR-200形気動車 伊万里駅にて     伊万里駅舎


5.伊万里→有田 普通 有田行き 松浦鉄道MR-200形

 かつて国鉄線同士の駅であったため同一構内を有していた伊万里駅も、現在では別会社となったため、写真のように道路を挟んで分断されている。両駅舎は類似しており、好対照を成している。
 今回唯一乗車する第3セクター、松浦鉄道で伊万里を後にする。JR線ではないので別料金となる。この西九州線は、松浦半島をぐるっと270度回って佐世保と有田を結んでいるため今回とは逆方向に向かっても佐世保には辿りつける。しかし伊万里からだと今回のように有田、早岐とJR線を経由した方が短絡ルートとなるため、速く着く。そのような案内もされていた。ここは以前にも乗った事のある区間なので懐かしかった。終点有田もやはり陶器で有名な町である事から、この路線は陶器の町同士を結んでいる路線と言えるかもしれない。この時乗った気動車MR-200形は新型車両増備に伴い2008年現在運用を離脱しているようである。

6.有田→早岐 普通 早岐行き 817系

 佐世保線唯一の未乗区間である。2駅だけと侮っていたが、駅間距離が長いため、距離的には結構あった。佐賀・長崎県境区間である事からそれも頷ける。前回旅行時は長崎→早岐→佐世保―(松浦鉄道経由)→有田→鳥栖と周ったため、この区間のみ残す事になったわけである。県境の峠道を越えて、早岐に到着。さて、このまま佐賀・鳥栖方面に折り返そうにも、データイムの佐世保線における普通列車が極端に少ない時間帯に引っかかり、ちょうどいい列車が無い。そこでせっかくだから余った時間で佐世保まで足を延ばす事にした。

7.早岐→佐世保 普通 佐世保行き キハ66・67系
8.佐世保→早岐 快速シーサイドライナー 長崎行き キハ66・67系


 佐世保線の本線ルートは有田→早岐→佐世保であるが、早岐駅は大村線ハウステンボス→早岐→佐世保方がスルーとなっており、佐世保線のみを走行する列車は当駅でスイッチバックする。これは建設経緯によるものである。そのため博多−佐世保の特急みどり等は進行方向を変えて直通するものの、他の佐世保線普通列車はたいてい早岐止まりであり、むしろ長崎から大村線経由で来るシーサイドライナーの方が佐世保に向かう列車としては多い。普通列車に乗車し、3駅で佐世保に到着。前回来た2001年当時は工事中だったが、立派な高架駅に生まれ変わっていた。構造的には松浦鉄道に直通できるようになっているものの、現在直通列車は無い。折り返し、長崎行きの快速シーサイドライナーで佐世保を後にする。快速とは言ってもこの区間では各駅停車である。




キハ66・67系気動車 佐世保駅にて



佐世保駅舎         佐世保の港と街並み


9.早岐→肥前山口 普通 肥前山口行き 817系

 有田までは先程初乗車した区間、有田から先は以前特急みどりで乗り通した事のある区間である。武雄温泉から先の区間は九州新幹線長崎ルートがとりあえずスーパー特急方式で整備される際に、在来線と共同利用するため高規格・複線化される予定の区間である。今の時点では特に目立った変化は見受けられなかった。長崎本線と合流すると、まもなく肥前山口である。

10.肥前山口→久保田 普通 鳥栖行き 817系

 長崎本線に入り、複線となる。この辺りになると広い筑紫平野の真っ只中を直線で貫くという風景となる。次は唐津線に乗車するが、佐賀まで乗り通すと1本乗り損ねてしまうので、分岐駅の久保田で下車する。

11.久保田→唐津 普通 西唐津行き キハ47形

 久保田駅は本当に何も無い駅だった。しかし周囲は住宅地なので毎時1本という本数からしても利用客は結構居るようだった。特急が一本通過した後、佐賀方面から気動車がやってきた。
 ポイントを渡り、唐津線に入る。車内では久保田駅で仲良くなった年配の方とずっと話していた。その方も気ままな旅に出てこられたそうである。今朝通った筑肥西線が近づいてきて、今度は本牟田部駅に停車。山本で筑肥西線と正式に合流。これにてJR九州は全線走破となった。高架線を上がり、唐津駅に到着。

12.唐津→筑前前原 普通 筑前前原行き 103系

 筑肥東線は行きに通ってはいるものの、ほぼ全線寝ていたので実質これが初乗車である。唐津線と分かれた後も高架線が続き、松浦川等を一気に越える。東唐津駅は以前場所が異なっていたようだ。その辺りを含めて筑肥線の山本・唐津−虹ノ松原間の旧線はスイッチバックを伴った複雑な路線網が展開されていたようで、実に興味深い。この唐津−虹ノ松原間の高架線は新線で、旧線は山本−虹ノ松原を直接結んでいた…つまり筑肥線は現在のように東西に分かれているという事はなく、一本の線だったわけである。この辺りの事情は図を見ないと分かりづらいので、興味がある方は調べてみる事をお勧めする。虹ノ松原から先は旧来の路線である。その名の通り左車窓に松原が広がる。その次に見えてくるのは唐津湾。海岸線ぎりぎりを走るので景色が良い。路線が大きく左にカーブしているので遠目に先程まで居た唐津の町並みが見える。いつの間にか福岡県に入っている。次に大きく右にカーブをきってその風景ともお別れ。いくつかのトンネルを抜け、まもなく筑前前原に到着。

13.筑前前原→博多 普通 福岡空港行き 303系

 お次は新型車両の303系である。実際に乗るのは今回が初めてだ。徐々に福岡市中心部に近づいていき、眼前に福岡タワーが迫る頃には周囲はすっかり市街地となっており、筑肥線の終点、姪浜に到着。ただし列車は相互直通運転で福岡市地下鉄空港線へと進む。姪浜を出るとすぐに地下に入る。地下鉄直通が始まる前の筑肥線はこれより南方のルートをとり、博多に向かっていたそうだ。福岡の都心、天神を過ぎ、中洲川端で箱崎線を分けるとまもなく博多に到着。この路線自体は福岡空港まで続いている。




303系電車 姪浜駅にて


14.博多→博多南 特急 博多南行き 100系

 博多駅は九州新幹線受け入れ工事と駅ビル建替えのため工事ラッシュである。この時点では旧駅ビルは営業終了していたものの、建物自体はまだ健在であった。半年後に来た時には既に解体されて更地になっていたため、この時が見納めになった。
さて、この旅行最後の未乗路線、博多南線である。博多総合車両所への回送線を利用したこの路線は新幹線ホームから発着するものの在来線扱いであり、また山陽新幹線と同じJR西日本が運営するので、九州内におけるJR西日本唯一の在来線という事になる。しかし博多南駅の出改札業務はJR九州の社員が行っている等、契約上複雑な部分が多い。九州新幹線が開業すると、博多−博多南駅分岐部まで本線を共有する事になるため、この路線の扱いをどうするかが注目される。JR西日本は九州新幹線開業後も博多南線を継続して運営する方針だそうである。全列車特急列車であるため、青春18きっぷは使用不可で、乗車券の他に特急券が必要である。ただし距離が短いため、乗車券190円+特定特急券100円の計290円と非常に安価である。このため、通勤・通学客が大変多いそうである。
 JR西日本仕様の塗装となった100系車両で博多駅を出ると、鹿児島本線をオーバークロスし、しばらく市街地を走る。新幹線用の高い高架橋なので、非常に眺めが良い。制限速度は在来線扱いである事から120km/h。しかし線形自体は良いので九州新幹線が本線として使用する際はこの区間ももっと飛ばすのであろう。本線部が途切れる少し手前で分岐線に入り、広大な車両所が見えるとまもなく終点の博多南に着いた。車両所の端をちょこっと間借りしたような駅であったが、改札を出てみると駅前は結構開発が進んでいた。博多南駅前に隣接する那珂川町はこの駅の効果で急速に発展を遂げたそうだ。九州新幹線の工事も順調に進んでおり、開業が楽しみである。総合車両所には現役の車両はさることながら、既に引退している旧ドクターイエロー、WIN350、グランドひかりの一部も留置されており、懐かしい姿を見る事ができた。折り返し、博多駅へと戻る。




旧博多駅ビル




100系新幹線車両         工事中の九州新幹線




博多南駅舎     旧ドクターイエロー、WIN350、グランドひかり(右)


15.博多→門司 快速 門司港行き 813系

 後は帰り道である。博多−小倉については、JR西日本の新幹線、JR九州の在来線特急、西鉄高速バスの3者が競合しており、JR九州の鹿児島本線についてはいろいろ努力はされているものの、やはり特急優先のため快速や普通列車は利用しづらい。九州新幹線開業後も、日豊本線への直通系統の特急は現状通り残ると考えられるので、博多以南と比べて劇的な変化は期待できないが、博多以北へ直通する特急有明の廃止も考えられるので、そうした際には是非前述した新快速のような列車を導入して競争力をつけてもらいたいところである。結構な乗客を乗せてこまめに停車しつつ、3日ぶりの北九州都市圏へと至る。小倉駅を経て、門司駅で下車。

16.門司→下関 普通 下関行き 415系
17.下関→新山口 普通 新山口行き 115系
18.新山口→岩国 普通 岩国行き 115系
19.岩国→広島 普通 広行き 103系
20.広島→海田市 普通 糸崎行き 115系


 関門トンネルを抜けて下関に至る。ちょうど通勤・通学時間に重なってしばらく座れない時間もあった。下関からは再び国鉄型王国、115系祭りである。山陽本線をひたすら4時間近くかけて広島に戻る。新幹線に乗れば50分弱で着いてしまうのだから山陽本線で最も新幹線が効力を発揮する区間と言えるかもしれない。行きに比べたら乗り換え回数が多かった。柳井で寝台特急富士・はやぶさを先に通す。この光景もまもなく見られなくなるかと思うと、一抹の寂しさを覚える。広島で最後の乗り換えをし、実に20本もの列車を乗り継いだ最終日の行程を終えるとともに、本旅行の全行程を無事終える事ができた。



おわりに

 九州地区の今回踏破した区間は、広島出身の私にとって近いようで意外と遠い場所であった。また未乗区間が九州各地に点在していたのも行きにくくしていた一つの要因である。今回幸運にもまとまった時間が取れ、これらの路線を踏破できた事は大変意義深い事であったと思うし、その合間に前の乗車から何年も経っている路線を再び訪れる事ができた事で新たな発見もできたと思う。
 さて、全線踏破という言葉が示す通り、この旅行の他にも未乗路線のある北陸地区も訪れている。また一旦全線踏破した後におおさか東線が開業したためそちらにも行った。今回は時間の都合でそれらには触れられなかったので、また別の機会にご報告させていただきたいと考えている。ここまで読んでいただいた方、長文にお付き合いいただきありがとうございました。



おわり


 
- 39 -
次のページへ→